【133回】読書感想『戦雲の夢』司馬遼太郎

こんにちは。

司馬遼太郎さんの『戦雲の夢』を読みました。

文庫版で401ページを5時間ほどで一気に読み終えてしまいました。

とても面白かったので紹介させてください。

あらすじ

土佐二十二万石の大領を率いる長宗我部盛親は、関ヶ原の戦いに敗れ、一介の浪人の身に落ちた。恥多い謫居の中で、戦陣への野望を密かに育み、再起を賭けて、遺臣たちと共に大坂夏ノ陣に立ち上がったが…。大きな器量を持ちながら、乱世の動きに取り残された悲運の武将を、鮮やかに描き出した長編小説

冷めた視点

長宗我部という名字の大名で最初に思いつくのは長宗我部元親です。

確か戦国時代に四国を平定したと記憶しています。今回はその息子の長宗我部盛親の話になります。

盛親は戦国大名という跡取りの立場は理解しているもののどこか冷めたところがあります。

事実、関ヶ原に敗れて領地が没収されます。

小説の中では関ヶ原の合戦が始まる前に当初東軍に組みするために使者を関東に送ったものの

関所が閉じられており東国にはいけなかった。

そして連絡が途絶えたための西軍に味方することとなります。

しかし関ヶ原でも積極的な戦闘はせずに消極的立場を貫いていました。

最終的には領地を没収されます。

その後に土佐に入ったのが山内氏でこれが幕末の坂本龍馬を生んだ土佐藩となり薩長とともに明治維新の原動になります。

何が何でも先祖代々の領地を守る、ということでもない点にとても興味を持ちました。

人の世というものは、生きてみねばわからぬものだ。とやかく考えているよりも、やってみるほうが早い。私のような男が大名として成功するか、失敗するか、息を引き取るときに答えが出る。

司馬遼太郎『戦雲の夢』(講談社文庫)より

ここに盛親の何か冷めた視点というか、自分というものを一歩引いた視点で

見ているような気がしました。

謫居(たっきょ)での成長

1600年の関ヶ原合戦から1614年の大坂の陣まで約14年間、盛親は京都で謫居となります。

謫居とは「流罪となってその地に住むこと」の意味です。

そこで盛親の成長が描かれます。

自分の運を愛さない者には運は微笑しない

司馬遼太郎『戦雲の夢』(講談社文庫)より

今までは自分の運を考えずに生きてきた盛親。

大名の後継になるのも家臣が手配しておかげであり、自分からなったわけではないと思っていました。それが謫居の生活で深く深く自分の内面を掘り下げていきます。

そして自分自身の運についても考え方が変わるようになります。

最後に

大河ドラマや時代劇でもあまりフォーカスされない盛親ですが

彼自身は彼の人生を生きてきた、ということが伝わりました。

それは盛親だけではなくフォーカスされようがされまいが

全員、自分自身の人生を生きている、ということだと思いました。

ぜひ読んでみて下さい。

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